和に見えながら洋と馴染み、古いようで新しい。そんな暮らしの器や道具、お洋服や家具までが、静かにそっと並びます。70余年の歴史ある器屋さんが提案する「手に届く贅沢」は、作り手の体温まで伝えるジャパンメイドの品々との、ある意味 “再会”。あなたの日常に、物語と温もりを秘めたアイテムを、一つずつ・・・
色とりどりに散りばめられた塗り箸や箸置き、豆皿に出迎えられて、一瞬、和小物のお店かと思いきや、そういうわけでもなさそうです。
見渡せば、モダンな電気ケトルやトースター、話題の炭酸水メーカー「ソーダストリーム」などのキッチン家電に、パリの蚤の市で見つけたかのようなシャビーシックな器や小物、クラフト感あふれるガラスや陶製のアクセサリーなども。
FLAPSの1F。中央エスカレーターを背後に、間口広く取られた開放的なその空間を、キッチン&ダイニング、インテリア&ホーム、ファッション&雑貨の大きく3つのテーマでゾーニング。
定番とシーズンものを織り交ぜて、確かに遥か視界の奥にはナチュラルな風合いのお洋服や、なんとも姿の美しい傘や帽子などのファッション雑貨の並ぶ様子が望めます。
もう一度じっくり見てみれば、豆皿は伝統柄だけでなく北欧テイストのお花やチョウチョ、スン!とすました猫をモチーフに使っていたり、箸置きのなかには焼き色までこんがり美味しそうなパン型のものがあったりと、「ステキ~」の声とため息が、ついつい漏れてしまいます。
贈り物にも喜ばれそう・・・今、お顔が浮かんだあの方へ、プチギフトのチャンスです!
「実は2019年にスタートしたばかりの、新しいお店なんです。」(店長)
という、ここ綱具屋ですが、母体である焼き物の会社の創業は、戦後間もない渾沌の時代にまで遡ります。
陶磁器の産地である愛知県瀬戸市から、初代が焼き物を満載したリヤカーを自ら引いて東京や大阪…戦争の爪痕が残る町々を、売り歩いたのがはじまりなのだとか。
それから70余年、量販店や百貨店などに販路を広げるなか辿り着いた、暮らしにまつわるさまざまなモノ、コト、そして人を “繋ぐ” という境地。
その想いを名前に込め、カタチにしたのがライフスタイルショップ、綱具屋なのです。
とはいえ、創業以来ずーっと手掛ける焼き物・器の目利きには、是が非でも甘えたいところ。入門編は、先ほどご紹介した豆皿などの小物から。ご家族皆さんがそれぞれ好きなものを選び、一つずつ「大好き!」を増やしていくのがお勧めです。
そして、綱具屋で何より見逃せないといえば・・・器作家さんや窯元さんをマンスリーで特集する企画展。焼き物のプロ・綱具屋が、日本全国の産地から選び抜いた品々を揃えるミニ展覧会は、お気に入りの作家さんや作品と出会う絶好のチャンスです。
作家作品を手に入れ、実際に使う、という贅沢。見慣れたお部屋の風景・空気をガラリと変える —— 想いを注ぎ、生み出されるモノたちには、そんな不思議な力が宿っているのです。
寛ぎのお家時間、あるいは家族とのお出掛けに。肩ひじ張らず、かといって、きちんと感は外さない、ちょうどいい “あんばい” のお洋服を、4つの国産ブランドからセレクトしています。
“お父さんの汗取りパンツ” のイメージが強いステテコの心地よさを、ファッションの表舞台へ —— 滋賀・高島ちぢみに端を発する「ビワコットン」のTシャツは、強い撚りをかけた糸を使っているため、生地のストレッチ性と肌離れが抜群。コットン100%とは思えない美しい表面感もあり、一枚で着てもサマになります。
一方、「natural organic fashion life」の頭文字から命名された「nofl(ノフル)」は、四国・香川発。オーガニックコットンなどの上質素材で仕立てる品々は、夏の瀬戸内の海に似たブルーや、そこに浮かぶ島々が春先に見せるような淡いグリーンなど、自然との語らいから生まれるカラーリングが印象的。ワンピもシャツもボトムスも、どこかヘルシーなムードが漂います。
さらに、大阪ブランドの「Cion(シオン)」と東京ブランドの「grin(グリン)」を加えたいずれもが、コットンやリネンなどの天然素材にこだわり、着心地のよさとイージーケアという、日常着としての「そこ大事!」を満たすアイテムを、国内工場で丁寧に生産しています。
しかも、シンプル&ナチュラルでありながら、パターンや配色の妙により、出すぎない個性を添えることも忘れてはいません。
大人の「装い」には、上質感と光る個性が不可欠です。
二重に織りあげた山梨・甲州織の生地の色の重なりと、16本骨で描く優美なライン。東京・日本橋に店を構える老舗、小宮商店の見目麗しい雨晴兼用傘「かさね」(24,200円)をはじめ、ここには丹精込めて作られる、ジャパンメイドのファッション雑貨も豊富に揃っています。
あなたの選んだお洋服に、さて今日はどの傘を、どのバッグを、どのアクセサリーをコーディネートしましょうか?
暮らしを彩る器やファッションアイテムにまつわるストーリーをご紹介してきましたが、そもそも和の落ち着きがありながら、フレンチシックなたおやかさや、ブルックリンスタイルの重厚感、ホッとする愛らしさ…など、さまざまなテイストをうまく混在させている綱具屋のインテリアや設え自体、暮らしのお手本にしたいもの。
すると——
「店舗什器として使っているその棚も、あちらの食器棚も、そこの丸いワゴンも、お買い求めいただける “商品” です。」(店長)
そうなのです。綱具屋ではクロスや花器などの雑貨だけを「インテリア&ホーム」と呼んでいるわけではありません。店内の什器の多くが購入可能で、それらは箪笥の町として知られる福岡・大川のメーカーから直接配送されます。
写真では・・・薬箪笥のような細かい引き出しを配したタイプと、観音扉タイプのキャビネットを並べた上に、同幅のガラス引き戸の上置きを、繋げて設置しています。 アンティークのように見えますが、アンティーク加工を施した、もちろん “新品”。
お部屋の主役になる、存在感たっぷりのこの棚ならば —— 由緒正しい和の食器も似合いそうですし、レーシーなクロスを敷いてロマンティックな意匠を施したミルキーホワイトのプレートと、下段でもご紹介するドライフラワーをコラボさせたり、はたまたポップでロックなデザインの器や置物を、リズミカルに並べるのも素敵! イマジネーションが膨らみます。
周りにはプロが見立てた器をはじめ、テイストさまざまな雑貨が溢れているのです。気に入った家具を見つけたら、その周辺に置くアレコレを、コーデしながらセレクトしてみてください。
種類は多くありませんが、ジャパンメイドのアイテムに馴染むモノならば、例えば、ポルトガルのシ・コラサォンのコットンブランケット(13,200円)など、海外の伝統の品々も。
衣食住にまつわるあらゆるものが揃い、コーディネートを考えながら買いまわることのできる綱具屋は、店名通り、あらゆるモノとモノ、アイディアとアイディア、人と人…を “繋ぐ” 店。
一つ「欲しい!」が見つかると、それと連鎖し、呼応するかのように、どんどん「欲しい」や「好き!」が見つかります。
あちらこちらからいろんなものを掘り出しては繋げ、あなたの「憧れの暮らし」を組み立ててみませんか?
70余年の山あり谷ありの物語に彩られる綱具屋で、それぞれに物語を秘めたジャパンメイドのモノたちと再会し、長く付き合いたいお気に入りを手に入れて!